もう頭の中はたまごのことしか…

もう頭の中はたまごのことしか…

「あかん、このままやったら、おっちゃんにたまごも食べられてしまう。どないしょう。」 私は、筋書き通りに物事が運ばないことを恐れはじめた。 私は、すでにたまごのことしか考えられなくなっていた。

例えば私が 「おっちゃん、そのたまごもらってもええ?」 と伯父にたのめば、 伯父ならすぐに、 「ええよ、ええよ、食べな」 とすんなり私にたまごを譲ってくれるに決まっていた。 しかし、私は、あえてそのような方法はとらなかった。 意地汚いと思われたくなくて言い出せなかったともいえる。 そういう展開を望んでいなかったともいえる。 あくまでも私は、自分の筋書き通りの展開によって、たまごを手に入れようと考えていた。 だから。じーっと玉子を見つめながら筋書き通りの展開になることだけを祈り続けたのだ。 しかしついに伯父の箸が、玉子の方向に動いたその刹那、私は、自らのプライドをこなごなにし、思い描いていた筋書きを台無しにするような、自分でも信じられない行動に出てしまったのである。

続く

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