わたしの過ち「たまごの味」

わたしの過ち「たまごの味」

昨夜は、夢をみたことを、ぼんやりとだけ覚えている。 義理の伯母が出てきた。父の二番目の兄の奥さんだ。 伯父は、もうかなり前に亡くなっている。 伯母の夢を見て、私は伯父のことを思い出した。 朗らかで屈託がなくて面白くて楽しい伯父だった。 私が小学一年生の頃、よくうちに飲みにきていた。うちの父はお酒が全く飲めないのだけれど、伯父は大酒飲みだった。父は伯父のためにいつも特級酒を用意して伯父を待っていた。 伯父は、それを目当てに、ちょくちょくうちに遊びにきていたのだった。 一度お酒のつまみが「おでん」だったことがある。 恥ずかしながら、当時私は、恐ろしく食い意地のはった子どもだった。しかしプライドも強く「恐ろしく食い意地がはっている」ということを誰にも知られまいとしている子どもでもあった。 その時私は、伯父の「たまご」を心ひそかに狙っていた。だから心の中で祈っていた。伯父がたまごを残して帰るのを。 1 おっちゃんがたまごを残したまま帰る。 2 母が片づけを始める。たまごの乗った皿をさげようとする。 3 と、その時、すかさず私が母にたずねる。 4 「おかあちゃん、そのたまご、もったいないから、食べてあげよか?」 5 母は、すんなり答える。   「そやね。食べて」 6 やったーいただき。めでたし。めでたし。 そうなる筋書きが私の頭の中にはすでにできあがっていた。

続く

ソーシャルブックマークへ登録する
はてなブックマーク Yahoo!ブックマーク GoogleBookmark Buzzurl ニフティクリップ Choix del.icio.us Livedoor クリップ